がん検診の利益・不利益等の適切な情報提供の方法の確立に資する研究班
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がん検診の賢い受け方〜がん検診のメリット・デメリットを知っていますか?

がん検診は、正しく理解して受けることで、がんで死亡する可能性、つまりリスクを下げることができます。お薦めできるがん検診やそうではないもの、がん検診のメリットとデメリット、がん検診を受ける際の注意事項などを解説しています。一般の方はもちろん医療従事者の方にも見ていただきたい内容となっております。

※本動画を個人利用の範囲を超えて利用されたい場合はこちらをご参照ください

ナレーション付き解説

がん検診は、正しく理解して受けることで、がんで死亡する可能性、つまりリスクを下げることができます。
世の中には色々ながん検診がありますが、国が推奨しているのはこの5つのがん検診です。これらを受診すると、がんで死亡するリスクは確実に下がります。対象年齢の人には、ぜひ受けて頂きたいがん検診になります。
では、これ以外のがん検診は、なぜ国から推奨されていないのでしょうか。この映像では、その理由について考え、がん検診についての理解を深めましょう。
がん検診は安心安全で害はない、若い時から受けるべき頻繁に受けたほうがいい、あるいは逆に3〜4年に1回ぐらい受けていればいい、そんなふうに思っていませんか?
実はすべて正解ではありません。
まず、がん検診には受けるべきものと、そうではないものがあります。
すべてのひとにお奨めできるがん検診とは、受けることで、将来がんで死亡するリスクが低くなるものです。
逆に、お奨めできないがん検診とは、受けても受けなくても、将来がんで死亡するリスクが変わらないものです。
また、効果がないばかりか、受けることで、デメリットが生じる場合もあります。
がん検診のメリットは、がんを早期に発見し、治療を始めることで、がんで死亡するリスクを小さくできることです。
例えば、大腸がん検診を受けたひとの死亡リスクは、受診しなかったひとに比べて、半分以下になります。
がん検診の1つ目のデメリットは、検査に伴って生じてしまうトラブルで、偶発症と呼ばれるものです。
がんの精密検査で、出血などが起こり、入院が必要になることがあります。例えば、大腸がんの精密検査では、少なくとも1万人あたり1人ぐらいの確率で、入院が必要な無視できないトラブルが発生すると言われています。
2つ目は、がん検診の結果が誤りであることによるデメリットです。
多くの場合、がん検診の結果は正しいものですが、一定の割合で検診の結果には必ず誤りが生じます。
検診結果の誤りには「偽陽性」と「偽陰性」の2種類があります。
「偽陽性」とは、検診結果では「がんの疑い」だったのに、精密検査を受けるとがんではなかった場合です。
例えば、がん検診を受けた結果、全体の2~10%程度の人は「がんの疑い」と判定されます。しかし、その後精密検査で実際にがんと診断されるのは、そのうちの10%未満なのです。つまり、「がんの疑い」のひとのうち、90%以上はがんではありません。ただ、「がんではなかった人」でも、結果がわかるまでの心の不安は大きいものです。さらに、病院での精密検査には、費用や時間もかかります。
次に、「偽陰性」です。
「偽陰性」とは、検診結果では「異常なし」だったのに、その後に症状が出てがんと診断される場合のことです。
がん検診を受診した人のうち、90~98%の人は検診の結果が「異常なし」となります。このように、異常なしとされた中にも、0.1%前後、つまり、1000人に1人程度ということですが、検診の後にがんの症状が現れ、がんと診断される人もいます。これも、検診結果の誤りによって生じるデメリットで、このような人の中にはがんの発見や治療が遅れて亡くなってしまう人もいます。
3つ目は、「過剰診断」です。がんと言っても放っておいても症状がなく死にも繋がらないリスクのないがんと、放っておくと死につながるリスクのあるがんの2種類があります。
過剰診断とは、その死亡リスクのないがんを見つけてしまうことです。
このようなリスクのないがんと、リスクのあるがんは、発見した時は区別できません。そのため、がん検診でリスクのないがんを見つけてしまうと、メリットがないのに大きな手術や抗がん剤の治療が必要になります。しかも、治療をしたとしても、寿命は伸びません。前立腺がんや甲状腺がんには、このような過剰診断が多いことが知られています。
また、がん検診を受ける時には、「年齢」や「頻度」についても注意しましょう。
がん検診が有効だとわかっているのは、特定の年齢層の人だけです。また、がん検診を必要以上に頻繁に受けても、がんで死亡するリスクは低くはなりません。それどころか、偽陽性などのデメリットが確実に増えます。
こちらが、国が推奨しているがん検診です。この年齢と頻度で受診すると、がん検診のメリットは大きくなり、デメリットは小さくて済みます。これ以外のがん検診は、医師と相談の上、ご自身で判断してください。
最後に、守って頂きたい注意事項が4つあります。
まず、すでに気になる症状がある人は、がん検診を受けるのではなく、すぐに医療機関を受診してください。
次に、がん検診の結果、精密検査が必要だと言われた場合は、必ず、すぐに医療機関で精密検査を受けてください。その際には検診結果をお持ちください。
また、がん検診で、異常なしと言われても、一度でやめずに、定期的にがん検診を受けてください。2年後、3年後に発生するがんを見つけるためです。
最後に、たとえ、検診結果に異常がなくても、がん検診の後に何らかの症状が現れたら、次の検診まで待たずに、すぐに医療機関を受診してください。
メリットやデメリット、注意事項を正しく理解して、がん検診を受けましょう。